【シリーズ①】シールドの周波数特性測定
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はじめに
こんにちは。Tepoです。
前回はベースに含まれる周波数特性について解析しましたが、今回はベーシストの必需品、シールドの周波数特性について測定しました。
「シールドの周波数特性って・・・何・・・?」
と思われる方もいらっしゃると思いますが、よく楽器屋の店員さんが言う「このシールドはハイが気持ちいいんだよね!」とか「このシールドは音がぶっといんだよね!」とかいうあれのことです。
「気持ちい」とか「ぶっとい」という表現ではなく「xxx[Hz]から減衰する」とか「xxx[Hz]にピークがある」というように理系チックにちゃんと数値的に分析してみようと思います。
今回は測定の前段階準備として、測定器具であるホワイトノイズジェネレーターについて検討をしました。
今回も非常に一般受けしないニッチな内容となっておりますので是非ご覧ください。
ホワイトノイズジェネレーターとは
ホワイトノイズジェネレーターとはホワイトノイズをジェネレート(発生)するものです。
ホワイトノイズとは、あらゆる周波数で一定の強度をもつノイズのことです。
テレビのアナログ放送を押すとザーーーーってなりますよね?あの音のことです。
ホワイトノイズは「あらゆる周波数で一定強度のノイズ」という特徴を持ったノイズであり、この特徴がシールド特性評価には非常に重要です。
あらゆる周波数で一定の強度ということは、言い換えれば「すべての周波数成分を一定強度含んだ信号」ということです。
よって、シールドを介してこのノイズを周波数測定機器に入力してあげれば、「xxx[Hz]以降は減衰しているな」とか「xxx[Hz]にピークがあるな」等の特性が測定できるわけです。
さて、このホワイトを発生させる方法はいくつか考えられますが、今回は手軽さを考慮して以下の2つを試してみました。
- トランジスタを使ったアナログ回路
- スマホアプリ
以降、この二つのホワイトノイズを測定してみたいと思います。
ホワイトノイズ①(トランジスタ)
一つ目のホワイトノイズ発生方法は、トランジスタを使ったアナログ回路です。
今回作成した回路図は下記の通りです。
なお、2SC1815は生産停止しているので、代替品としてお店に並んでいた(KTC-3198)も念のため試しましたが同じ回路乗数で動作し、以下同様の結果が得られました。
こんな感じです。非常に単純な回路なので10分もかからず完成しました。
まずは、この回路で発生したホワイトノイズの音を聴いてみましょう。
なかなかいい感じの砂嵐です。
では、周波数特性を測定してみましょう。
今回は、WaveSpectraというフリーソフトを使って測定してみました。
フリーソフトなのにこんなことができるなんて・・・すごいです。。。ありがたく使わせていただきます。
図の横軸が周波数、縦軸が強度となりますが、横一線となっている、すなわちあらゆる周波数で強度が一定になっています。
ホワイトノイズとしてはかなり優秀ですね。
ホワイトノイズ②(スマホアプリ)
二つ目のホワイトノイズ発生方法は、スマホアプリです。
「アプリかい!!!」
と思った皆様、現代はアプリでなんでもできる時代。
昔は高価な機材を使える一部の人しかできなかった難しい実験も、スマホのおかげで手軽にいろんなことが高精度でできるようになりました。
使えるものは何でも使ってやりましょう。
とは言っても本当に使えるの?と私も思いましたので、特性を測ってみました。
ホワイトノイズは何やら癒し効果があるとかないとか、アプリがめちゃくちゃいっぱいあることに気づきました・・・
全てを検証することは不可能なので、今回は3つセレクトして測定しましたが・・・全てダメでした。。。
まず、どのアプリもそうでしたが周波数強度が一定ではありません。
加えて、アプリによっては20kHz付近以上はカットされていました。
「このアプリには、自然界と同じ人間が聞こえる範囲以上の周波数が含まれ、安眠効果、癒し効果、リラkk・・・」
ちゃんと調べるって大事ですね。
シールド特性を測定してみた(予備実験)
今回使用した機材は下記のとおりです
ホワイトノイズ発生器:自作回路(tepo)
シールド:LC01-SA BLACK(CANARE)
オーディオインターフェース:UR22mkII(STEINBERG)
今回の実験は、シールドの比較なので、こんなものを入手しました。
この実験以外に果たしてどこに需要があるのだろうかと思うコネクタ。
ホワイトノイズ→オーディオインターフェースの間にコネクタを挟んだ場合(下左図)とシールドを挟んだ場合(下右図)で周波数がどう変化するのかを測定すれば、純粋にシールド線の特性を比較できます。
では、これらの周波数測定を図ってみましょう。
結果は下記のとおりです。
結果は、コネクタの場合は-50dBくらいのホワイトノイズであったのに対し、シールドの場合は-40dBくらいのホワイトノイズとなりました。。。
シールドにノイズが乗っかって全体的に強く出たんでしょうね。
このシールドは長さ1mというとても短いシールドなので、妥当な結果だと思います。
実験成功です。
また、上の右側の図を見ていただくと、若干ですが20kHz付近でレベルが落ち始めるような兆候がある(気がします。)
もっと長いシールドや、ノイズに強いと謳っているシールドを図ってみると面白いことが見えそうですね!
まとめ
今回は、シールド比較を行うためのホワイトノイズの選定とシールド実験環境の構築編でした。
脇役のシールドですが、楽器の信号をアンプやエフェクターに受け渡すとても大事な仕事をしています。
次回は、今回構築した環境でいろんなシールドの特性を測定してみたいと思います。
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