【全ベーシスト必見】オヤイデ電気のシールドを一生懸命試してみた
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はじめに
みなさんこんにちは。Tepoです。
今回は、サウンドハウスで買えるオヤイデ電気のシールドと、定番のBelden8412を比較してみました。
かなりニッチな企画だと思いますw
ベースを長くやっている方もしくは秋葉原にお住まいの方はご存じだと思いますが、オヤイデ電気というシールドや電源ケーブルなどのケーブルの会社があります。
私は前職、電源回路設計エンジニアをやっており、人一倍ケーブル類には敏感でしたので、オヤイデさんはかなり昔から存じ上げておりました。
オヤイデってどなたかのお名前なのでしょうか?宮城県には生出(オイデ)という地名があり、若干似てて親近感があります。
私自身オヤイデの電源ケーブルをアンプの電源ケーブルとして使わせていただいておりましたが、実はシールドは使ったことがなく…
ずーーーーーーーーっと気になっていたのですが、今回ついに音を出すことができました!
今回はベーシストには馴染み深いBelden8412を軸に、サウンドハウスで購入可能な3つのオヤイデ電気のシールドを比較してみました。
今回比較したシールドは下記です。
- QAC-222G(OYAIDE)
- G-SPOT Cable(OYAIDE)
- Force’77(OYAIDE)
- 8412(Belden)
比較動画(Youtube)
測定条件
測定条件は下記で統一しています。
- 各シールドの長さは3mで自作し、ジャックはスイッチクラフト280を全てに使用
- スペクトラム分析はフレットの特性や私の握力のばらつき等を極力排除するため、3弦の開放弦の音で測定
- 指引きとピック弾両方で比較した結果、ピック引きの方が顕著に特性差が出るのでピック引きの特性で比較
なお、スペクトラム分析については、こちらの記事でも用いた自作周波数解析プログラムを用いて行います。
また、使用機材は下記の通りです。
- ベース:Amaze ASM 4弦 (ESP)
- ピック:PR1-BKH(SolidBond)
- オーディオインターフェース:UR22mkII(STEINBERG)
8412(Belden)
定番のBELDEN8412。一般的に音が太く、ベース向きだとよく言われます。これを基準としてオヤイデシールドを比較していきます。

QAC-222G(OYAIDE)
メーカサイトによると「バンドアンサンブルにおいてギター、ベースのインストゥルメンツとしての存在感と個性の確立は出音における最重要要素です。NEOはQAC-222ケーブルの設計コンセプトを完全踏襲し、線材のアニーリング調整などのチューニングを施すことでレンジ感や引き立たせる帯域を調整し音密度を集中、ギターの実用性を追求したシールドケーブル"QAC-222G" を完成させました。」とのこと。
本来はギター用なんでしょうかね?ただ、サウンドハウス等の口コミを見る限り、ベーシストの方も使用しているみたいです。
BELDEN8412と音を比較するとはっきりとわかるのですが、ハイミッドが出ており、すごくすっきりと聞こえる。Jazz演奏する時なんかは非常にいいなと思いました。かなりぬけが良いです。かと言ってLowが物足りないわけでもなく、丁度良い。
スペクトログラムを見ると、256~512Hzあたりが出ているのが分かります。ハイミッドが確かに出てますね。これが音を聴きやすいと思わせるのでしょう。
とてもいい感じです。


G-SPOT Cable(OYAIDE)
メーカサイトによると「オーディオ用ケーブルのようなハイファイ感は少なく、楽器本来のサウンドをストレートに伝送します。 中低域の密度が濃く、太い音 かつ 腰の据わったサウンドで、200~300Hz辺りの音質には特筆すべきものがあります。」
こちらも主にギター向けのシールドなのでしょうか。
メーカサイトにもある通り、下記スペクトログラムを見るとQAC-222Gと同様に200~300Hzが非常に強く出ており、べーしととしては非常にぬけが良いシールドです。


Force’77(OYAIDE)
メーカサイトによると「ギター専用・高性能エクストリーム・ライン・ケーブル。FORCE ’77G はギター本来の出音を損なうことなく、あくまでケーブルとしての役割を果たすべく、様々なシチュエーションでの使用を想定し且つ、細部に渡り綿密な設計が施された、高性能エクストリーム・ライン・ケーブルです。計算し尽されたスペックはオリジナリティが溢れ、研ぎ澄まされたデザインへと昇華しました。」
ギター専用なのですね・・・
このケーブルも先の2つと同じく200~300Hzあたりが出ています。


まとめ
今回は、 BELDEN8412とオヤイデ電気の3種類のシールドを比較しました。
オヤイデ電気のシールドは非常にヌケが良く、音の立ち上がりが早いなという印象です。
ジャズで指弾きメインの方には非常に相性が良いのではないでしょうか?(私自身も、今回試してみて「 QAC-222G」をメインで使うことを決めました(惚れました)。)
スペクトラム分析によると、8412はローミッド(100~200Hz)、オヤイデはハイミッド(200~300Hz)が強みだなと思います。
ただ、オーディエンスに届く音はベース本体、シールド、アンプなどシステムを構成するすべての特性が関係するため、使用機材や自分の出したい音や求められている音等を考慮して最適なもの選ぶということが重要だと思います。
なお、今回の検証では「音」に着目して評価をしましたが、シールドの評価項目は音だけではなく、耐ノイズ性や取り回し易さ等たくさんあります。メーカサイトを読む限り、オヤイデ電気はさすがケーブル専用メーカだけあってケーブルにおけるあらゆる評価項目においてこだわりぬいているなと思いました。がんばれニッポンメーカ!
ディスカッション
コメント一覧
初めまして。
興味深く読ませていただきました上で意見を述べさせていただきます。
ピック弾きの方が顕著に特性差が見られたためピック弾きのサンプルで比較したとのことですが、聴感でもサンプルとして同一の周波数特性で鳴らせているように思えません。加振物がピックでありため、同一とみなしてよいサンプルが得にくいはずです。(ハンマリング試験を想像していただければと思います)
指弾きでは有意な特性差が出なかったようですが、実際のところそのわずかな差が正しい結果なのではないでしょうか。
ご意見、お待ちしております。
k様
コメントありがとうございます(初コメントでして非常にうれしく存じます)。
1.ピッキングで同一サンプリングできないのではないかというご指摘に対して
私がピックで弾いたものをサンプルとして用いておりますので
ご指摘の通り、アタックポイントが若干ずれていることは否めません。
ただ、全てフロント、リアの中間にてアタッキングしており、極端にずれていることはないかと存じます。
また、試行回数も1度ではなく、数回サンプリングをしておりますので、
音の傾向としては極端に外れてはいないかと存じます。
2.ピック弾きで差が出たことについて
ハンマリング試験と記載いただいたので、古典制御理論の視点から私見を述べさせていただきます。
ご存じの通り、ハンマリング試験のように、t=0, Power=∞の入力(インパルス入力)をシステム(今回でいうとベース)に
入力することは、フーリエ変換することにより、周波数領域でf(from -∞, to ∞)の入力を与えたことと等価となります。
ただ、インパルス入力は実現不可能(∞のエネルギーを一瞬で引火するのは不可能)ですので、実現可能な機械的入力を与えることで評価する必要があります。
実現可能な機械的入力として、ピック弾きと指弾きを考察したときに、ピックは高周波入力、指弾きは低周波入力としてとらえることができると思老います。
今回のシールド特性比較結果は「High mid」に差が出るという検証結果でした。
先述の通り、指弾きは低周波入力と近似できたとすると、シールドを通す前段階でHigh mid成分が少ないため、有意な差が得られなかった。
逆に、ピック弾きは高周波入力と近似できたとすると、シールドを通す前段階でHigh mid成分を多く含んでいたため、有意な差が得られた。
これが、指弾きで有意な差が得られず、ピック弾きで顕著な差が出た理由かと思っております。
実は1については、本ブログを始めたときから、私も悩んでいるところでして
正確な検証のためには、再現性のある均一なアタッキングを実現する装置が必要であると思っております。
ただ、2児の子を持つサラリーマンの趣味として検討するには、ちょっと壮大です・・・
これ一つで学会発表や特許化できてしまいそうですねw
ただ、今回のご指摘で改めて上記装置の必要性を認識致しました。ありがとうございます。
評価装置の自作、これはこれでブログのネタになりそうだなと思いましたので
いいものができたら、改めてご紹介させていただきたいと思います。
ご指摘いただきましてありがとうございました。